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こんにちは。
赤ちゃんのあたまのかたちクリニック院長の高松です。
NHKの朝の番組を見ていたら、今秋「ブルーボーイ事件」を題材にした映画が公開されると言っていました。1960年代、性別適合手術(当時は「性転換手術」と呼ばれていました)を行った医師が、優生保護法違反で裁かれた、日本の医療史に残る象徴的な出来事です。
社会がまだ「性」や「身体の自己決定」を受け止める準備ができていなかった時代に、当時の医学の範疇の定義に収まらない苦しみに患者も医師も孤立しながら医療を模索していました。
このニュースを目にし、私自身の医師としての原点を思い返しました。
私は形成外科医としての初期キャリアの中で、1998年、埼玉医科大学総合医療センター(川越)で行われた日本初の、医療行為として公に認められた性別再判定手術にチームの一員として参加しました。
当時は「性同一性障害(GID)」という言葉がようやく社会で認識され始めた頃。
法制度も診療体制も整わない中で、外科・精神科・内分泌科・産婦人科・泌尿器科・倫理委員会が連携し、一例一例を慎重に議論しながら進めていきました。
手術の適応、危険性と安全性、本人の意思――そのすべてを丁寧に確認する過程で、私は「形を変える医療」が人の尊厳そのものに関わる行為であることを学びました。
更に私が取り組んできたこととして、マイクロサージャリー(顕微鏡下手術)があります。
直径1mm程度の血管や神経をつなぐ再建手術は、集中力と精密さの極致。顕微鏡を覗きながら命の流れをつなぐ作業の中で、人の身体が持つ構造と生命力を深く学んできました。
この経験は、いま私が行っている赤ちゃんの頭の形の矯正にも直結しています。
乳児のヘルメット治療(療法)は、外科的な切開や縫合を伴いませんが、頭蓋骨がどの時期にどの方向に伸び、どの部位で制限がかかっているかを、立体的に・解剖学的に読み取る力が求められます。標準と破格の知識がそれを支えてくれます。
ヘルメットの鋳型を設計するときも、「この部分は将来的にどのように成長して、どの骨縫合がどの方向へ向い、どこが広がるか」「顔の骨はいつ、どのように成長するのか」
それを実感として理解できるのは、おそらく私が手術が好きで解剖学の欧州留学をし、手術が得意だった形成外科医だったからだと思います。
つまり、外科手技の経験があるからこそ、頭蓋成長という「生体変化のダイナミズム」を手の感覚でイメージできる。
それが、私にとっての矯正ヘルメット治療の原点です。
「手術が苦手だからヘルメット治療をしている」?
そんな声を時折耳にします。でも、実際はその逆だと私は思っています。
手術を数多く経験してきたからこそ、 その限界も知り、「切らずに治す」という選択の意味と価値を知っています。
頭蓋矯正ヘルメットは、発達途上の骨と筋と内側にある脳の成長力を利用しながら、侵襲(心身に与える負荷)を最小限にしつつ形のゆがみを整える・・・まさに、「成長をデザインする医療」です。
手術と装具、外科と非外科。
それらを対立概念としてではなく、「患者にとって最適な方法をどう選ぶか」という軸で考える。それが形成外科の本質であり、私の医療の哲学です。
性別適合手術に関わった経歴から、ときに「思想的」「グローバル主義的」といった印象を持たれることもあります。少なくとも私はグローバリスト、左翼主義者ではないと思っています。そんなことより、私にとってそれは政治ではなく、純粋に医療そのものだと思います。
形成外科は、「形」と「生き方」の間にある領域を扱う学問です。
生まれつきの形、外傷や病気で失われた形、成長の中で変わる形。
どの場合でも、私たちが考えるのは、
「その人(そのお子さん」がどう生きたいか」という一点に尽きます。
ブルーボーイ事件が残した問いは、「医学の進歩と社会はどう向き合うか」というものでした。それは昔も今も、形を扱う私たち形成外科医に突きつけられています。
手術でも、ヘルメットでも、目的は一つ。
その人が、自分らしく生きられる形を支えること。
形を変えることは、人生を支えること。
その信念を胸に、これからも赤ちゃんとご家族の未来に寄り添っていきます。
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火曜日は理学療法士による発達支援を含む初診ですので、費用がことなります。詳細は治療費のページをご覧ください。