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向き癖
head turn preference

赤ちゃんの向き癖について

2022年5月の現時点で調査できた範囲で記載しています。今後の研究の成果により変更される可能性があります。

現在、向きぐせに関する系統だった解説を、医学・看護学関連や保育関連の成書で見つけることはできませんでした。しかしインターネットで検索すると、新生児用枕の商品サイトがいろいろ出てきますし、多くの保護者が検索、ロコミ投稿され関心の高さが伺えます。

向きぐせという医学用語はどうやら無いようです。英語では新生児のHead Turn preference, Asymmetrical headturningと表記され、後頭部の扁平現象の最大のリスク因子と考えらています。(出典リスク因子)

新生児の頭の回転の好みは、下記のように定義されています。[出典1]

  • 頭を(自分の心地よいと感じる)左右のいずれか決まった方に置くこと
  • 頭をいずれかの方向に回転させようとする強い力
  • 頭を正中線の位置に合わせられないか、合わせられてもそれを維持できないこと

頻度はわかっていません

頭の形の非対称が心配で受診された保護者にお聞きすると、妊産婦超音波健診で胎児がいつも同じ向きを向いて顔が見えなかった、出生直後から同じ向きしかむかなかったいうお答えが非常に多いことから、かなり早期に生じていると考えられます。

双子、前置胎盤、切迫早産による長期の安静などとの関連も高いようです。

早産などの未熟な傾向のある新生児に、満期産児よりも頻度が高く見られた(早産児22/40人 満期産児4/53人)という観察研究があります。[出典2]

(図は成熟新生児の正中位 「四肢屈曲、手は口元、膝は床から少し浮かせ、足首は交差」というのが正常な筋緊張を保持している姿勢)[出典3]

向き癖の原因

はっきりとしたことは不明です。体幹(首、胸腹部、背部)の神経・筋緊張の未熟性が関連しているのではないかと推測されています。

正常のお子さんでは月齢3か月のころに消失する原始反射である非対称性緊張性頸反射(ATNR:Asymmetrical Tonic Neck Reflex)が右向きが多いということと、向きぐせが右に多いということは関連しているかもしれません。

鑑別診断

先天性斜頚

頚部の筋が出生時に損傷をうけたために筋肉が収縮し、頭がその方向へ傾いてしまいます。
胸鎖乳突筋にしこりを触れる場合も触れない場合もありますが、寝ていないときも同じ向きに首を傾げています。頚椎の先天異常や、耳鼻科疾患の炎症後に生じる斜頚もあり、早めの小児整形外科受診が重要です。

育児環境

両親とも右利きで、同じ方向にだっこや授乳をしてしまう、室内のベビーベッドの位置が固定されていて、同じ方向からばかり音や光剌激がくる、いつも決まった位置で添い寝・添い乳するなどの環境要因が非対称に影響を与えている可能性があります。

聴力左右差

乳児の聴力は出生直後にスクリーニング検査されていますが、左右差があると聞こえる方ばかりを向く可能性があります。

視力左右差

新生児の視力は0. 0 5程度なのでほとんど見えていませんが、片側の視力障害をきたす先天性の疾患があると、頭の向きに非対称が見られることがあります。

先天性股関節開排制限

股関節の開きの左右差があると、頭の向きぐせが生じることがあります。乳児健診(生後3~4か月健診)の際に先天性股関節脱臼の検査も行われており、下肢長差や運動の様子、股の開き具合等について診察されていると思います。

診断で股関節脱臼が認められる場合、股関節は「軽度屈曲」、「外旋位」という特徴的な姿勢になります。そしてお顔が脱臼側と反対側の方を向いています。両側の脱臼がある場合、脱臼の程度が重い側と反対の方を向いている場合が多いようです。

脳性麻痺 片麻痺

妊娠中から出生直後の脳損傷により体を動かす機能が障害される疾患ですが、重度ではない場合は乳児期には気付かれず、運動発達の遅れや姿勢の左右非対称が見られる場合があります。

リスクの高いお子さんも以前よりも MR I検査等により早期に発見、診断されやすくなっており、早い段階から発達を促すリハビリテーションを通して日常生活に必要な能力を向上させることができるようになっています。

向きぐせを放置するリスク

軽度な向きぐせは、乳児の発達により体幹(首、胸腹部、背部)の運動発達により適度な筋緊張を獲得するにつれて減少していきます。定頚するころに減り始め、5~ 6か月頃からはあまり見なくなるようです。

深刻な向きぐせは、発達の進行に悪影響を与える可能性があります。

リスクの高い乳児の向きぐせは、頭の回転が同側四肢の反射的伸展と反対側の屈曲をもたらし、非対称の動きのパターソにつながるため、機能に影響を与える可能性があります[出典4.5]。その状態で長時間過ごすと、反射パターン、筋緊張、および後の機能のための動きに影響を与える可能性があります。

定頚(くびすわり)前なのに反り返って寝返りしてしまう、首すわりが遅い、寝返りが遅い、片方だけしか寝返りしないなどです。ただし、片側しか寝返りできなくても他の発達が正常であれば問題はありません。

さらに深刻な向きぐせは、乳児期初期の非対称運動を促進し[出典6.7]、姿勢の将来の合併症につながる可能性があります[出典8.9]。乳児の姿勢脊柱側弯症、斜頸、および変形性斜頭症を含む非対称の頭蓋形状を含む姿勢の非対称性も長期にわたる向きぐせに起因します[出典10-14]

さらに深刻な向きぐせは、頭蓋変形や姿勢の左右非対称が重症、継続したことで悪循環に入り、成人になっても向きぐせや頭蓋変形が残存することがあります[出典15]。ヘルメット治療が必要な重症斜頭のお子さんでは、うつ伏せで寝るようになっても顔を向けている方向は結局同じで、向きぐせが治っていないことがよくあります。頭位性斜頭における運動発達の遅れがよちょち歩きまで継続するという複数の報告と整合性があると考えられます。

歩行開始時期の筋緊張の左右差について詳細な調査は存在しません。ただし筋の低緊張児が足底装具療法によって立位バラソスと歩容が改善したという研究結果がありますので、疾患といえるほどではないが生活の不便や姿勢に起因する不都合へ影響している可能性を否定できません。クリニックでは、希望されるお子さんにヘルメット卒業時のバランス測定を実施しており、足底装具作成も可能です。ヘルメット治療を行わなかったお子さんも、歩容の心配があれば受診していただけます。なお、向きぐせと学習障害については直接の関連があるとは考えられていません。

向きぐせはどう治すのか?

向きぐせを生じている原因の早期診断が重要です。疾患があれば、その治療が優先されます。

予防においては、抱っこや授乳の際に左右均等に向けるようにします。またチャイルドシート一体型ベビーカーなど狭いところに押し込んで向き癖が長時間固定化した状態で過ごさないように心がけます。向きぐせと反対側を向くようにベッドの向きを変えたり、興味をそそる玩具を置くことが推奨されます。

おおむね月齢3か月から4か月以下の赤ちゃんにおける軽症例や、むきぐせ予防では、家庭で可能な理学的療法が推奨されます。頚背部のマッサージを通して緊張を緩和し、筋緊張の左右差を軽減するタクティールケアや、腹臥位での遊びを通して運動面の発達を促進し、向き癖の改善を図るタミータイム(tummytime) などが有効です [出典16]。タミータイムは、寝返りやハイハイにつながる姿勢左右対称性獲得の基礎となるものですから、個々の発達程度に応じた適切な強度と時間で行い、こどもに強制することなく興味をひいたり遊びを通じて自発的な動きを促すことに留意したいところです。

当クリニックでは、お子さまの発達程度にあわせた適切な方法を体操外来でご案内しています。

4か月になっても向きぐせが深刻で、かつ、重度の頭位性斜頭 短頭になってしまった場合、または定頚が遅れている場合は、悪循環のためにそのどちらも自然改善は難しい状況です。

頭位性斜頭は、近年ヘルメット治療によって見た目の改善が可能になってきましたが、ヘルメット治療さえすれば向きぐせも発達も何もかも改善するというような科学的根拠はありません。 一方我々の観察研究では、ヘルメット治療を終了して以後、1歳6か月になれば運動発達の遅れはキャッチアップしており(論文準備中)、ヘルメット治療が運動発達面の進行を阻害することはないという安全性が確認されています。)

(注; 1歳6か月までに歩けるようになれば運動発達は一般的に大丈夫といわれています)

いつまで向きぐせを改善させる努力をするべきなのか、どのようなリハビリテーション的方法が適当なのかについてまったくわかっておらず、挑戦的課題です。

ドーナツ枕で向きぐせは治るのか?

枕のなかで体が固定され過ぎていると、重力による圧迫が特定の場所に持続し、効果がないばかりか逆に意図しない頭蓋変形を助長してしまう可能性があります。

乳児の寝る姿勢を固定し続けることは、運動発達を抑制することを意味するので推奨しません。
起きている時に行う発達を促す体操が可能かどうか、発想を変えてみてください。自力で枕から頭が落ちてしまうようになったら、枕の意味はありません。呼吸の邪魔になるような柔らかいものが頭の周りにあると危険なので赤ちゃんから目を離さないようにしましょう。

乳幼児突然死症候群啓発(厚生労働省)

枕のなかで体が固定され過ぎていると、重力による圧迫が特定の場所に持続し、効果がないばかりか逆に意図しない頭蓋変形を助長してしまう可能性があります。乳児の寝る姿勢を固定し続けることは、運動発達を抑制すること を意味するので推奨しません。起きている時に行う発達を促す体操が可能かどうか、発想を変えてみてください。

自力で枕から頭が落ちてしまうようになったら、枕の意味はありません。呼吸の邪魔になるような柔らかいものが頭の周りにあると危険なので赤ちゃんから目を離さないようにしましょう。

出典一覧

  1. S.Dunsirn Early Hum Dev. 2016 May;96: 53-60.)
  2. Y Konishi,Dev Med Child Neural. 1986 Aug;28(4):450-7.
  3. 加藤静恵視知覚(ビジョン)・協調運動の発達を促す育児支援一寝返り・ハイハイの重要性を考えよう①第57回日本母性衛生学会総会・学術集会
  4. Domellof E, Upper and lower body functional asymmetries in the newborn: do they have the samelateral biases? Dev Psychobiol.2005;46(2):133-140.
  5. JV Neurology of the Newborn. Philadelphia: Saunders Elsevier; 2008.
  6. Aucott S, et al.Neurodevelopmental care in the NICU. Ment Retard Dev Disabil Res Rev. 2002;8{4}:298- 308.
  7. Grenier I, et al.Comparison of motor, self regulatory, and stress behaviors of preterm infants across body positions. Am J Occup Ther. 2003;57(3):289-97.
  8. Yoo H, Outcome analysis of cranial molding therapy in nonsynostotic plagiocephaly.Arch Plast Surg. 2012;39:338-44.
  9. Konishi Y,. Asymmetrical head-turning of preterm infants: some effects on later postural and functional lateralities. Dev Med Child Neural.1986;28(4):450-457.
  10. Konishi Y, et al. Development of posture in prone and supine positions during the prenatal period in low risk preterm infants. Arch Dis Child. 1994;70:188-91.
  11. Porter D, Is there a relationship between foetal position and both preferred lying posture after birth and pattern of subsequent postural deformity in nonambulant people with cerebral pasly?Child Care Health Dev. 2009;36(5):742-7.
  12. Nuysink J, et al. Prevalence and predictors of idiopathic asymmetry in infants born preterm. Early Hum Dev. 2012;88:387-92.
  13. Sweeney」,Musculoskeletal implications of preterm infant positioning in the NICU. J Perinat Neonatal Nurs. 2002;16(1):58-70.
  14. Geerdink JJ, The development of head position preference in preterm infants beyond term age. Dev Psychobiol.1994;27(3):153-168.
  15. Konishi Y, et al. Effect of body position on later postural and functional lateralities of preterm infants. Dev Med Child Neurol.1987;29(6):751-757.
  16. Flannery,A.M, et al.:Congress of Neurological Surgeons Systematic Review and Evidence-Based Guidelines for the Management of Patients With Positional Plagiocephaly: Executive Summary. Neurosurgery79: 623-624, 2016
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