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こんにちは。
赤ちゃんのあたまのかたちクリニック院長の高松です。
日々、赤ちゃんの頭の形の相談を受けていると、「なぜヘルメット治療は保険がきかないのですか?」という質問をよく受けます。
同じ「見た目の問題」に見えるのに、外耳変形や小耳症は保険が適用されるのに、頭の形の矯正は保険外。
その違いはいったいどこにあるのでしょうか。
外耳変形は、生まれたばかりの赤ちゃんのご相談としてはきわめて頻繁にある内容です。折れ耳、埋没耳、カップ耳、立ち耳、スタール耳、副耳、耳瘻孔、小耳症などいろいろあります。
極論を言ってしまえば、髪の毛で隠せてしまうことができる、命に関わることのない外見の特徴に過ぎません。 頭の形にどこか似ていると思いませんか。
小耳症は「形の異常」だけではなく「機能障害の可能性」があるから、
小耳症(microtia)は、耳介が著しく小さかったり欠けていたりする先天性の形成異常です。
実際には多くの症例で外耳道の閉鎖や狭窄を伴い、伝音性難聴を引き起こす可能性があります。
ところが、乳児期には聴力検査が十分にできません。
OAE(耳音響放射)やABR(聴性脳幹反応)を使っても、外耳道の構造異常があれば正確な評価は困難です。
つまり、「聴力障害がない」とは断定できない。
そのため、制度上は「機能障害を伴う“可能性のある”先天異常」として扱われ、耳介再建手術などは健康保険適用の対象となっています。
一方、乳児頭蓋変形は「成長過程の形態差」として扱われています。つい最近まで小児科では、乳児健診の親への「模範回答」として「自然に治ると話して安心させるだけでよい」と指導されてきた事実があります。
頭の形のゆがみ(変形性斜頭症・短頭症など)は、
主に胎児期や出生後の姿勢や筋緊張の偏りによって生じる二次的な変形です。
頭蓋骨縫合の異常(頭蓋縫合早期癒合症など)を除けば、
脳や神経の発育には直接的な機能障害を引き起こす因果関係がないとされ、
保険制度上は「審美的・整容的問題(cosmetic issue)」と分類されます。
このため、乳児頭蓋矯正ヘルメットは美容目的の装具と見なされ、現行の健康保険制度では適用外、自費診療とされています。
そもそも、乳児の頭蓋変形は「病名」としては認められておらず、外見の特徴であるとされています。
それなのに米国でこれが医療機器とされたのは、乳児に対して治療方法が危険視された時期があり、全数登録を義務付けられた歴史があったからですが、現在では安全な方法であると考えられています。これを踏襲して日本でも医療機器承認されています。
私はこの点に、医療現場の現実と制度の大きな“ズレ”を感じます。
乳児の頭の形のゆがみは、単に見た目の問題ではなく、
首や体幹の非対称性・筋緊張の未熟・初期運動発達遅滞(寝返り、座位保持、起立、歩行)・視覚入力など、全身の成長の基礎形成時期のバランス不全が背後に隠れている構造的サインです。
一方で、その程度を議論しないまま、軽症に対しても“可能性”をちらつかせて保護者の不安をあおって商品を販売するようなことや、 “可能性”を過剰な言い訳にして保険適応を要求するような態度は医療への信頼性を低下させてしまうことになります。
とはいえ単なる「美容」と片付けてしまうことも、赤ちゃんの将来の発達支援の機会を見逃すことにもなりかねません。
重度の小耳症が“機能の可能性“を理由に保険適用されているように、重度の頭蓋変形にも“発達機能への影響の可能性”があることを、きちんと医学的に、社会的に議論していく必要があります。
保険診療は「機能」を基準に線引きされます。
一方、形成外科は「形の異常に対して機能を守る・回復する」医療です。
乳児頭蓋矯正や姿勢・運動発達支援は、まさにこの境界領域にあります。
私は、「形を変える医療」が単なる見た目の修正ではなく、身体の成長と発達を支える医療であるということを、一人でも多くの人に知ってほしいと思っています。
医療保険制度は「形」と「機能」を厳密に分けようとします。
しかし、赤ちゃんの発達や人の身体は、その二分法では語りきれません。
これからも、現場の臨床経験を通じて、「形の医療」にどんな意味があるのか、発信していきたいと思います。
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