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こんにちは、赤ちゃんのあたまのかたちクリニック院長の高松亜子です。今日は、赤ちゃんのお話ではないことを書いてみます。
頭蓋変形およびその矯正に関する研究は、ここ数年で大きく広がりを見せており、臨床の現場から生まれるデータをもとに、論文として発信しようとする先生方も増えてきました。
最近、これから論文を書きたいという中堅の医師の先生から、
「これまで多くの論文を査読されているとお聞きし、ぜひ一度ご意見を伺いたい」
という形で、原稿について相談を受ける機会がありました。
その際にお話しした内容は、特定の原稿に限らず、これから論文を書こうと考えている多くの先生方に共通して役立つ視点だと感じましたので、一般的なアドバイスとして整理してみたいと思います。
(なお、これは特定の論文、著者、研究グループ、企業を念頭に置いたものではありません。)
原稿を拝見してまず感じるのは、
着眼点やデータそのものは非常に良いということです。
こちらが「なるほど」と思う気づきや、考え方を教えられることも少なくありません。
一方で、内容が良いからこそ、次のような点が気になることがあります。
この点は、最初にお伝えすることが多いポイントです。
多くの場合、問題は「結果」そのものではなく、その結果が、どのような条件下で得られたものかが十分に共有されていないことにあります。
論文を書く際に、ぜひ意識していただきたいのが、前提条件と限界を、読み手が迷わない形で言語化することです。
具体的には、次のような点です。
これらが「方法」「結果」「考察」のどこかで明確に記載されているかを、一度立ち止まって確認してみてください。
「この条件下で得られた結果である」
この一文があるだけで、論文の受け取られ方は大きく変わります。
中堅の先生方からは、「ここまで書くと、結論が弱く見えませんか?」と聞かれることがあります。
しかし実際には、条件や限界を明示することは、結論を弱める行為ではありません。読み手による過度な一般化を防ぎ、意図しない誤解を避け、長く安心して引用される論文にするための、いわば 「論文を守る作業」 だと感じています。
ある程度の症例数を経験し、「この手技、治療、器具・装具、医療機器は有効だ」という実感を持つ段階になると、表現がやや強くなってしまうことは自然なことです。
ただ、「当てはまらなかった症例はなかったか」、「今回の研究では評価しきれなかった点は何か」を一度整理して書き添えるだけで、論文の完成度はもう一段上がります。
これはブレーキではなく、次の研究につながる余白を残す作業だと思っています。
特定の手技、治療、器具・装具、医療機器などを対象とした研究について相談を受けることもあります。
その際にお伝えしているのは、「本研究で示せたこと」、逆に「本研究では示せていないこと」を、意識的に切り分けて記載することの重要性です。
少し表現を整理するだけで、「推奨」や「優劣の断定」と受け取られにくくなり、結果として研究そのものの信頼性が高まります。
実際の査読プロセスでは、読み手の不安を強く煽る表現や、「この手技、治療、器具・装具、医療機器を使用しなければ深刻な不利益が生じる」あるいは「特定のメーカーの製品を用いなければ十分な効果は得られない」といった断定的・誘導的な記載が含まれている原稿は、データの質とは別に、慎重な評価を受ける傾向があります。
その結果として、査読結果がAccept(採択) に至らず、Minor Revision(軽微な修正後採択)やMajor Revision(大幅な修正後再査読)にとどまらず、最悪、Reject(不採択)と判断されるリスクが高まることがあります。
これは特定の研究や企業活動を否定するものではなく、論文としての中立性や一般化の妥当性、読者への影響が重視されているためです。
相談を受ける中で感じる「惜しさ」とは、研究が足りないという意味ではありません。
むしろ、テーマ設定が良く、データ収集が丁寧で、臨床的な意義が明確であるにもかかわらず、前提条件や限界の整理が十分でないために、読み手の解釈の幅が広がりすぎてしまうという点にあります。
ほんの数行の補足で、論文の印象は驚くほど変わります。
論文は、同じ分野の専門家だけでなく、将来的には他分野の医師や、一般向け情報の基礎資料として
引用されることもあります。また、後世においてもっと素晴らしいものが登場した場合に、現状最高・最良とされていたものが陳腐化あるいは不適とされる場合もあります。だからこそ、どこまで言えるのか
どこから先が今後の課題なのか、などを明確にしておくことが、研究者自身を守り、分野全体の信頼性を高めることにつながります。
これはあくまでもこれから論文を書きたいと先生方から相談を受けた経験を基に、私自身が普段お伝えしている、ごく実務的なアドバイスを記載したものです。
同じ臨床の現場に立つ医師同士として、これから論文に取り組む先生方の参考になれば幸いです。
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