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赤ちゃんのあたまのかたちクリニック院長の高松です。今回のテーマは理学療法とヘルメット療法の役割についてです。
乳児の頭蓋変形に対する治療を考える際、まず理解しておくべきなのは、頭の形そのものではなく、その背景にある姿勢や運動発達の偏りです。
多くの頭蓋変形は、向き癖や体幹・頸部の使い方の左右差といった外的要因と関連しており、これらを評価せずに形態のみを修正する治療には限界があります。
位置的斜頭に対する理学療法の有効性については、脳神経外科学会(Congress of Neurological Surgeons:CNS)が2016年に発表した系統的レビュー/ガイドラインで明確に整理されています[i][i]。
このガイドラインでは、「理学療法は位置的斜頭に有効か?」という問いに対し、統計学的に厳密な比較研究を含む複数の研究を評価したうえで、
・理学療法は、単に「頭の向きを変えるよう指導するリポジショニング教育」よりも有意に効果的
・安全な睡眠環境の観点からも、枕などの使用より理学療法が推奨される
と結論づけています。
ここで重要なのは、「何mm改善する」「何%変わる」といった単一の数値ではなく、比較した場合に理学療法の方が明確に優れているという点が、ガイドラインレベルで支持されていることです。
さらに、2025年にPubMedに掲載された近年の総説でも、
・リポジショニング(寝るときの頭の向きを時間ごとに変える)は、軽症〜中等症では一定の効果がある
しかし、複数の研究で理学療法はリポジショニングより効果が高く、ヘルメット療法はさらに大きな形態改善を示すという整理がなされています[ii]。
軽症から中等症の頭蓋変形では、理学療法が治療の中心となります。
特に、生後1か月から遅くとも3か月頃までに開始された場合、姿勢や運動発達への介入によって頭蓋変形の改善が期待できることがあります。
一方で、この時期を過ぎると、理学療法によって変形の悪化を予防する効果は期待できるものの、頭蓋変形そのものを理学療法のみで矯正することは難しくなる可能性があります。
これは理学療法の価値を否定するものではなく、月齢と頭蓋成長のスピードを踏まえた現実的な限界です。
多くの重症例では、理学療法のみで十分な形態改善を得ることは難しく、頭蓋形態の矯正という点ではヘルメット療法が中心的な役割を担います。
そのため、重症度や月齢を踏まえた結果として、ヘルメット療法が最も現実的かつ効果的な選択肢となる場合があります。
ただし、ヘルメット療法はあくまで「形を整える治療」であり、頭蓋変形の背景にある向き癖や姿勢・運動発達の偏りを直接改善する治療ではありません。
そのため、ヘルメット療法のみを行った場合、治療終了後のリバウンドのリスクを完全に否定することはできません。
外来でよく見られるのが、「理学療法」に対する以下のような誤解です。
・親子で行うタミータイム=理学療法だと思われている
・赤ちゃん整体や整骨院のように、理学療法士が赤ちゃんの筋肉や骨格を手で矯正するものだと思われている
・赤ちゃんの頭部のマッサージが理学療法だと思われている
・○○できるのが遅いから、決まった体操を何分、何回やる筋トレが理学療法だと思われている
実際の医療としての理学療法は、
「評価に基づいて、姿勢・運動発達・左右差を整理し、ひとりひとりの弱いところ、苦手なところを発見し、それを解決する方法について保護者とともに日常環境や関わり方を調整していく運動発達の質を高めるプロセス」
です。
単一の運動や手技を指すものではなく、継続的な評価と介入が前提となります。
治療を「選ぶ」のではなく「組み立てる」
実際に、当院で理学療法を初めて受けた保護者の方からは、
「これまで見たことのない表情をしていた」
「こんな動きができる子だったとは知らなかった」
といった声が多く聞かれます。
これらは治療効果を断定するものではありませんが、評価に基づいた介入によって、赤ちゃんの反応や動きの幅がその場で変化することを、保護者自身が体感する機会になっていると考えています。
その結果として、
「経過を継続して評価してほしい」
「もう一度理学療法を受けたい」
といった理由で再診につながるケースが増えており、理学療法のリピート率は上昇傾向にあります。
このような過程は、治療法を単純に「選択する」のではなく、
「その子の特性を把握しながら治療を段階的に組み立てていく必要性を示しているもの」といえます。
なお、こうした理学療法の実際の様子については、不定期ではありますが、当院のインスタグラムでも一部を紹介しています。
文章だけでは伝わりにくい介入の雰囲気や赤ちゃんの反応を、視覚的に確認できる形で共有しています。
https://www.instagram.com/akachan_atama_hattatsu001
理学療法単独、あるいはヘルメット療法単独でも、一定の効果が得られる場合はあります。
しかし、それが常に最も効果的な治療であるとは限りません。
重要なのは、
「月齢・重症度・発達状況を評価したうえで、理学療法を基盤とし、必要に応じてヘルメット療法を組み合わせていくこと」です。
一部の国では、理学療法による評価や介入を行わずにヘルメット療法へ進むこと自体が制度上認められていません。
これはヘルメット療法を否定しているのではなく、理学療法が治療の前提として重要視されていることを示しています。
乳児の頭蓋変形治療において、理学療法とヘルメット療法は対立するものではありません。
それぞれに役割と限界があり、適切な時期に、適切な形で組み合わせることが、結果として最も合理的な治療につながります。
[i] Neurosurgery. 2016 Nov;79(5):E630-E631.
[ii] Childs Nerv Syst. 2025 Apr 22;41(1):163.
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