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頭の形外来
Crania Deformity Blog

2ピースヘルメットの利点

んにちは。赤ちゃんのあたまのかたちクリニック院長の高松です。

本日は2ピースタイプヘルメットの「よいところ」と「考えるべきところ」について整理します。

乳児の頭蓋矯正ヘルメットにはいくつかのタイプがあります。

今回は当院で選択されることの多い、前後に分割構造をもつ2ピースタイプについて、その利点と課題を客観的に述べます。

代表的な製品には、

  • リモベビー
  • リモベビーミシガン
  • プロモメット
  • ゆめっと

などがあります。

なお、ここで特定の方式を推奨し他を否定する意図はありません。医療としての特性を整理することが目的です。

2ピースタイプの良いところ

(1)短頭・長斜頭症の矯正に強い

乳児の頭部は、幅・前後長・高さが同時に変化する三次元的構造です。
2ピースタイプは前後方向の延長設計が可能であり、短頭症や前後径不足を伴う症例で効果を発揮します。単なる平面的な左右差の修正にとどまらず、前後バランスまで設計できる点が特徴です。

(2)長期管理によるリバウンド抑制

頭囲成長は装着初期に急峻で、その後緩やかになります。
矯正効果も成長速度に比例します。「後半は改善が鈍化する」という指摘がありますが、これは生理的成長曲線に沿った自然な変化です。

2ピースタイプは、後半の保持と微調整に対応できる構造を持ち、1歳前後まで形態安定を図る設計が可能です。

(3)医師・義肢装具士による伴走体制

2ピースタイプは設計と調整に高度な判断を要します。

  • 医師による形態評価
  • 義肢装具士による構造調整
  • 両者による継続的再評価

が一体となる体制が前提です。

経験を積んだ小児形成外科医や脳神経外科医の間では、この管理密度が結果に影響すると考えられています。

2ピースタイプの課題

(1)頬支持が深く、顔が隠れやすい

縦(上方向)に頭蓋が成長してしまったケース、こめかみから下の頬骨部に変形がある場合、重症症例で、左右差を解消するために長期間の装着が必須となるケースに対応するため、ほっぺた部でヘルメットを支える設計になります。

そのため、装着時に顔の露出が少なくなり、外観上の印象としては、こめかみから上の部分でヘルメットを固定するタイプのバンド型やCタイプのヘルメットよりもかわいいお顔を覆う範囲が広くなります。

(2)治療期間が長いと誤解されやすい

2ピースタイプは「矯正に時間がかかる」と言われることがあります。

しかし構造上、パーツを拡大することで装着期間を延長できるため、保護者の希望により長くかぶれる設計になっているという点が大きな違いです。

バンド型やCタイプは、ヘルメットのキャパシティを超えた時点で終了となるため、結果として短期間で終了するケースが多くなります。

当院でもCタイプのヘルメットを用いますが、初期改善が大きく、かつ、むきぐせが早期に治ったい症例では短期間で卒業することもあります。

2ピースタイプは、

「1mmでも改善させたい」
「リバウンドを避けたい」

という希望に対応する設計であり、装着期間の差は設計思想の違いによるものです。

(3)アプリ発注や直接チャット機能がない

一部のバンド型やCタイプでは、

  • 3D画像を直接業者へ送信
  • アプリで発注
  • 患者と業者の直接チャット

といったシステム化が進んでいます。

他方、2ピースタイプは基本的に医療機関を介した運用となり、義肢装具士在院日に調整を行う必要があります。効率性の面ではデメリットであるといえます。

(4)人的リソースが必要で費用が高め

設計・調整・再評価に継続的関与が必要なため、医療機関における人的コストが反映されます。

極めて重度な頭蓋変形、頭頂縦発育、ハチ張りや局所凹凸への個別対応が必要なケースも治療できる反面、時間も費用もかかっている状況にあります。

(5)知名度が低い

大量生産に向かない構造であり、調整技術を要するため、取扱いを希望する医療機関としては参入障壁が高く、ヘルメット製造数も取扱医療機関数も伸び悩んでいるようです。

結果として広告展開も限定的になり、知名度もバンドタイプやCタイプのヘルメットほど高くありません。

バンド型・Cタイプの優位性

2ピースタイプ以外のヘルメットにも当然利点があります。

  • 調整の標準化
  • 医師間のばらつき低減
  • 義肢装具士不在での運用
  • コスト抑制

参入障壁を下げ、多くの患者に治療機会を広げるという点で意義があります。医師が疾患鑑別や副作用管理に集中できるという側面もあります。

この分野で各社が技術開発を続けることは、医療全体として望ましい流れです。

当院で2ピースが選ばれる理由

重度短頭や前後径不足症例では、2ピースが有効と考える専門家は少なくありません。

理由として挙げられるのは、

  • 三次元設計の自由度
  • 前後延長構造
  • 内部掘削や熱処理による微調整
  • 長期安定性

ただし、結果は医師と義肢装具士の経験に依存します。
即ち、装置が優れているのではなく、設計思想と管理体制を含めて医療が成立しているというのが実態です。

結論

このヘルメットタイプが絶対的に正しいというものはありません。
変形の特徴、重症度、月齢、通院可能性、ご家族、費用負担の額等によって選択は変わります。

しかし、

  • 重度短頭
  • 前後径不足
  • 長期安定を重視する症例

では、2ピースタイプは有力な選択肢です。

当院では、まず

  • 病的疾患の除外
  • 三次元的成長評価
  • 発達や姿勢との関係確認

の判断を行います。

そのうえで症例に適した方式を提案します。
ヘルメットは商品ではなく医療行為の一部です。
設計思想と管理体制の違いを理解したうえで選択することが重要です。

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