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頭の形外来
Crania Deformity Blog

「このくらいなら様子を見てもいいのか」と迷っている方へ

こんにちは。

赤ちゃんのあたまのかたちクリニック院長の高松です。|
これまでに「重度で明らかに治療が必要なケース」についてはお話ししてきました。

今日は、形成外科医として日々診察していて最も判断が難しいと感じる中等度の変形についてお話します。

外来で実際にいちばん多いのは、

“ずっと気になっているけれど、治療が必要かどうかわからない”
“悩み過ぎてわからなくなってしまったので、評価してほしい”

といった変形のご相談です。

きっかけは特別な出来事というよりも日常の中にあることがほとんどです。

  • 吸引分娩のあとがマシになってきたけど、なんかおかしい気がする。
  • 3か月健診で「少し歪んでいますね」と言われた
  • 祖父母に「頭の形、大丈夫?」と指摘された
  • 保育園や外出先で他の子と見比べて気づいた
  • 写真を見て左右差が気になった

こうしたきっかけで「ん?」と違和感を持ち始めます。

ただ、その一方で「でもこのくらいなら普通かもしれない」と言う気持ちも同時に存在しています。
重度の場合は誰が見ても分かるため、家族内で意見が分かれることは多くありません。

一方で中等度の場合は、意見が割れることが多いようです。

  • 自分はかなり気になる
  • でも配偶者は「気にし過ぎ」と言う
  • 祖父母は「昔はそんなの気にしなかった」と言う
  • 自分たちは気になっていないのに祖父母のほうが強く気にしている

このように、意見がそろわない状態になります。

結果としてどう動いてよいのか分からないまま時間が過ぎていきます。
気がつけばSNSやインターネットで情報を探し続け、何が正しいのかわからなくなり、アプリやAIに判断を委ねてみる、といった状況になることも少なくありません。

ここから先は、診療の中でよく伺うお話しです。

  • 配偶者の親に指摘されて、自分の育児が悪かったのではと感じてしまった
  • 自分は毎日気になっているのに、配偶者は全く関心を示さない
  • 「ちゃんと向きぐせ直してたの?」と言われた
  • 「ヘルメットはかわいそう、虐待ではないか」と言われた
  • 「そんなことまでやるの?」という反応が気になる

逆に、

  • 周囲に何も言われないけれど、自分だけが気にしているのではないかと不安になる

というケースもあります。

このあたりは医学的な話ではありませんが、実際にはご両親の意思決定に強く影響します。

中等度の場合、産後訪問、乳児検診、予防接種、かかりつけ小児科などで相談される機会は多くあります。そのなかで「様子を見ましょう」と言われることも少なくありません。

それ自体は間違いではありません。

ただ問題は、

  • どの程度なら様子見でよいのか
  • どこからが治療を考えるラインなのか

がはっきりしないまま時間が過ぎてしまうことです。

この時点でも、骨の病気が原因の変形の場合もあります。中等度でも病的原因のことがあります。向き癖があっても病的背景があるケースがあることを忘れないでください。)

結果としてきちんと判断しないまま時期だけが過ぎていくという状況になります。期待したほど自然な改善がなくヘルメット療法を考え始めると、さらに迷います。

いざヘルメットが選択肢に入ると、

  • そこまで行う必要があるのか
  • やるなら早い方がいいのではないか
  • でも費用や通院は現実的なのか

と、判断軸が一気に増えます。

ここで大事なのは、正解が一つではないということです。

当院で実際にやっていること

当院では、まず

  • 今の変形がどの位置にあるのか
  • 発育、発達の状況を踏まえ、今後どの程度変化しうるのか

を具体的にお示します。

エビデンス(科学的根拠)も大事な要素です。理論で納得したい、というご両親にとっては重要な情報です。ただし全てが明確にわかっている分野ではありませんので、現時点でわかっている事、わかっていない事をお伝えすることに努めています。常に最新情報をアップデートしていますので、疑問に思うことはどうぞご質問ください。

また、頭蓋骨模型をご覧いただきながら、どのくらいの変形までなら許容できるのか、を感覚で納得していただくこともあります。

その上で、

  • ヘルメットをした方が合理的なケース
  • しなくても大きな問題になりにくいケース

について一緒に考えます。

さらに、

  • 通院頻度
  • ご家庭での対応・協力状況
  • 費用や生活への影響

も含めて、「実際に続けられるか」を一緒に考えます。

結果として、ヘルメットを選ぶ方もいれば、選ばない方もいます。
それがいわゆる 「相対的適応」といわれる中等度の現実です。

中等度で悩んでいる場合の問題点

この段階で一番問題になるのは、判断材料が不十分なまま悩み続けてしまうことです。

  • 周囲の意見に引っ張られる
  • インターネットの情報に左右される
  • 家庭内で意見がまとまらない

こうした状態が続くと、どの選択をしても納得しにくくなります。

頭の形の診察の初診というのは、一般的な3分診療と揶揄される保険診療の一般的な外来と比べて、状態の評価に加えて、状況の整理や今後の方針を丁寧に検討していく過程が中心になります。そのため一瞬で結論がでるようなものではなく、状況によっては45分の診察でも十分に問題を整理しきれないことがあります。

またヘルメット療法には効果が得られやすい時期というものがあります。そのぎりぎりで受診される場合、診察室で赤ちゃんにお会いする1回の診察ではすべてを判断してすべてのご質問にお答えきれないこともあります。 

可能であれば、早めの段階で一度ご相談いただくことをおすすめします。

最後に

もし今、

  • 気になっているけれど決めきれない
  • 家族の中で意見が一致しない
  • 様子を見ると言われたが不安が残っている

という状態であれば、その段階で一度、客観的な評価を受けてみてください。
中等度のケースほど、「診断」そのものよりも「判断のための迷いの整理」が重要になります。

何を選ぶかより先に、どの位置にいるのかを明確にすることが、その後の迷いを減らす一番現実的な方法です。

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