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頭の形外来
Crania Deformity Blog

院長ブログ:櫻舞う卒業シーズン

今年もまたたくさんの赤ちゃんがクリニックを卒業していっています。

3~4月に卒業が多いのは、時期的に保育園に行く前に卒業したいという親御さんが多いのか、あるいはこれから暑くなるからその前に卒業しておこうかな、といったところでしょうか。

ヘルメットをかぶり始めたころは、
クルクル回っちゃう
寝ていると上に脱げちゃう
ヘルメットがおめめにかかってない?
お肌が赤くなる
蒸れてにおいが

特に装着開始後1か月までの間のツーピースタイプのヘルメット(ミシガン、プロモメット、リモベビーなど)でよく聞かれるお悩みです。斜頭、短頭の重症度計測値だけでは表現できない頭の形の凸凹などを細かく調整し、リバウンドを起こさせずに1歳過ぎまで長期間かぶれるサイズアウトしにくいタイプのヘルメットでは特にこういった副作用が出やすいです。

そして開始後もママやパパのお悩みは続きます。

かわいそうじゃない?
ほっといても治るんじゃない?
赤ちゃんがヘルメットしたいって言ったわけじゃないよね?
親のエゴなんじゃない?

周りの方々に言われて真剣に悩まれた方、今も悩んでいらっしゃる方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

赤ちゃんは自分自身の将来をすべてママやパパに依存していますから、赤ちゃんからすれば、良くも悪くも親御さんのご判断に全権を委任しています。

頭の形のクリニックを5年以上、成育医療研究センターで2011年に日本で初めてヘルメット療法を開始した時から同センターで小児頭蓋矯正を専門に取り組んできた経験と実績から言えば、ヘルメット療法卒業式のときに「治らなかった」「やらなきゃよかった」という方は今のところ1人もいらっしゃいません。

そして当院では、来院患者様のうち4人~5人に1人がヘルメット療法を受けられています。これは、他の医療機関と比べるとかなり少ないようです。

上述のヘルメット療法を受ける前に悩まれた結果そうされる方、もちろん費用の問題もあるかもしれません。それに当院が極力ヘルメットをしないで頭蓋矯正、ひいては赤ちゃんの発達サポートができないか模索しているからかもしれません。

院長の診察を見学に来られる先生方から「私ならヘルメット強く勧めてました。」「先生がまさか、『軽症だからヘルメットはする必要ないでしょう。』っておっしゃるとは思いませんでした。」と驚かれることばかりです。

個人的には、ヘルメットで矯正すべきか、それ以外の選択肢はないかを常に考え、ヘルメット療法が最適と判断した場合はどのタイプのヘルメットが最も赤ちゃんの、そしてご家族の状況に相応しいかまでを説明し、あとは、親御さんのご意向で決めていただくスタンスを貫いています。

「なぜ背中を押してあげない」、「あのときてっきり先生がパパを説得してくれると思ったのに。」といったご意見もいただきますが、そこは赤ちゃんから全権委任された親御さんに今の状況をしっかりとお話しして、その選択肢をお示しするところまで、ただし、やると決めたら全力で赤ちゃんと親御さんに向き合う、この考え方は変わらないと思います。

そして卒業、アンケートで「やってよかった。」「あのとき決断してよかった。」の声をお聞きするたびに、私共のやる気スイッチがオンになり、加速していきます。

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