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8月終盤、杪夏を過ぎても酷暑が続きますね。台風の経路も黒潮の流れも例年と異なり異常な暑さで赤ちゃんにとってもママ、パパにとってもつらいシーズンが続きますね。
どうか、体調管理には十分ご留意ください。
夏休み中は暑さのせいか、患者様も少なく今は教科書を書いたり、国内外の研究事例を調べたりする機会も増え、色々考えさせられることが多くなっています。
そんな中注目したのは、海外に於いて、ヘルメット療法は発達支援を軸とした理学療法と併用すると、個々にそれらを行うより効率的頭蓋変形の矯正やのんびり発達の改善効果が高かったということです(引用1)。
当院では、ヘルメット療法、自然治癒コース、発達サポート(発達支援)をそれぞれ個別に実施していますが、自然治癒コースは、途中でヘルメット療法に移行された方を除いて、ご両親が目指しておられたゴールまで当院でフォローできた事例がほとんどなく、途中でご来院されなくなる方も多く、本当にご両親の憂いが晴れたのかどうかが気になっていました。
自然治癒の成功の根拠となる文献も見つからず、思春期には最重症例が減っているという海外の人口調査が唯一の希望です。一方、知人の小児科の先生などにその後改善された兆しがあるか等確認したりするのですが、さすがに頭囲計測や頭蓋矯正度合いの測定、発達検査まで行っておられる先生はいらっしゃらず、その効果が不明であることは否めません。
もちろん当時ヘルメットに移行はせず、自然治癒を期待されて来院を終了された赤ちゃんが、その数か月後に発達支援やインソール外来に再来院された場合、大分改善したなと思うお子さまもいれば、あのときヘルメットをもう少し勧めておけばよかったかなと後悔することもあって、その成果について自信を持って公開できないもどかしは残念ながら残っています。
海外でもヘルメットと発達支援のどちらが良いかについては、ヘルメット推進派と保存療法傾倒派で意見が分かれているようです。ただ、色々調べている中で、冒頭に申し上げた併用療法の効果は、単体で行うよりかなり効果的であることがわかりました。
当院でも、ヘルメット療法と発達支援を並行して実施したケースでは想定以上の改善効果が出ていることはわかっていたのですが、並行実施された患者様の絶対数が当院だけではまだまだ少なく、公表するに至っていませんでした。
しかし、米国ではかなり以前からヘルメット療法にはしっかりとした理学療法プログラムが伴うべきという論調があり有名な小児神経外科医が表明していました(引用2)ので、これは公表した方がよいと考えるようになりました。
更に、当院でプロモメットを装着している保護者の方の一番の悩みである慣らし期間にヘルメットがズレる、回るという問題点についても考えをめぐらせてみました。これは少しでも良くなって欲しい、せっかく良くなった頭の形がヘルメットを終えた後にリバウンドが怖いという保護者の声にこたえるために、長い期間ヘルメットをかぶれることを可能にするために、サイズアウトまでの期間をできるだけ後ろ倒しにすることを目的として敢えて大きく作っているために起きる起こる事で、最重症のお子さんでは避けられない現象なのです。
様々な対策をとってはいるものの、完全に制御しきれていないのも現実です。
これを解消するために2ヘルメットセットの施策を義肢装具士さんに依頼しています。つまり慣らし期間中はすぐサイズアウトはするものの、ものすごい勢いで成長する赤ちゃんの頭囲にあわせてめざす形状誘導の礎を導き、方向性が見えたところでいよいよ成長に合わせて長期にかぶせることができるプロモメットにチェンジするという療法です。
これにはいろいろな費用がかかってしまうために強くはお勧めしにくいのですが、これに発達支援を組み合わせれば現時点で考えられる最も効果的かつ包括的な頭の形の矯正が実現できるのではと考えています。
ヘルメット療法中のお子さんにもいろいろなタイプがいます。装着後みるみる改善していく子もいれば、お首がすわったのに寝返りができない、うつぶせが苦手、のけ反ったり突っ張ったり背バイしたりしてヘルメットがすぐズレてしまう子もいます。また、改善がゆっくりで1歳過ぎてもヘルメットをしているのんびり発達型のお子さんもいます。
頭が扁平だったり変形していることが、発達の遅れや障がいを直接誘引するのではありません。しかし関連性があることが、海外の複数の長期調査で一致しています(引用3、4)。頭の形も発達のつまづきも要はむきぐせに対する改善療法をいかに早く有効的に開始するかにかかっていることは間違いないと思います。
暑い中で熱く語ってしまいましたが、これからもより効果的な治療法を模索していきたいと思います。
引用
J neurosurg Pediatr 2009.3.284-295
3) Collett BR, Starr JR, Kartin D, et al. Development in toddlers with and without deformational plagiocephaly. Arch Pediatr Adolesc Med. 2011;165(7): 653–658
4)Collett BR, Gray KE, Starr JR, Heike CL, Cunningham ML, Speltz ML. Development at age 36 months in children with deformational plagiocephaly. Pediatrics. 2013;131(1). Available at: www.pediatrics.org/cgi/ content/full/131/1/e109
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