RESERVE
こちらから全ての診療科のWEB予約が可能です。
また、ご予約した診療科のメニュー内からご予約の確認・変更も可能です。
ONLINE
こちらから全ての診療科のオンライン診療がご予約可能です。
ご利用にはCLINICSへの登録が必要になります。
TELEPHONE
お電話でのご予約を受け付けております。
診療時間外の場合はWEB予約をご利用ください。
いざヘルメット治療を始めて、ヘルメットが夜になったら脱げてしまい、こんなの意味がないんじゃないの、と心配になるお母様がいるかもしれません。
当院でも、他の病院の治療であるにもかかわらず、無断で当院のヘルメット画像を使用されて、snsにつぶやかれたことがあります。
全く脱げないお子さんのほうが多数派なのですが、当院でも治療を始めてすぐにはヘルメットが脱げてしまう事例があることも事実です。どうしてこういうことが起こるのか、そんなときどうしたら良いのでしょうか。
これから書くことは、私の個人的な臨床経験のお話です。他院のヘルメット治療全てに当てはまるものではありません。当院以外で治療を受けられているお子さんの話でもありませんので、それぞれのお悩みは担当医師にお尋ねください。
1)ヘルメットがどのように制作されているか
2)ヘルメットを正確に被せることができているか
3)お子さんの頭が意図しない方向に急速に成長していないか
4)お子さんの姿勢や運動発達に原因はないか
5)脱げてしまったときの対応はなにが正解か
状況の判断と適切な調整の繰り返し
1)当院の矯正ヘルメットは、治療前に予測して説明した治療ゴールの時点で、お子さん一人一人が到達できるであろう理想の形態を、院長が設計しています。その設計図をヘルメット制作会社(複数から選んでいただけます)
ヘルメット制作会社もクリニックも近年増えています
治療を開始する前の変形が重度であればあるほど、ゴールに設定した形との差が大きく、ズレたり脱げやすくなります。
例えば、斜頭のお子さんで左右差が20mm以上や、タイプV(側頭部や頭頂部に二時的変形がある)の場合、短頭のお子さんでCI(頭蓋指数もしくは頭指数)が101%以上やタイプVIc(襟足や額の丸みが失われている)場合などです。
ヘルメットが脱げないような設計は、実は簡単です。今の変形と同じ形のヘルメットを作成すれば脱げません。ご想像のとおり、それは保護ヘルメットであって、矯正ヘルメットではありません。
海外でヘルメットを作成し、帰国後にその調整を依頼された日本人のお子さんを診察したことがありますが、持参されたヘルメットを見て、私は驚愕しました。それは、短頭を治療する目的のはずなのですが、なぜか後頭部は扁平なまま作成されていました。欧米人の先生には東洋人のいわゆる”ぜっぺき”の悩みは理解できなかったのでしょうか?設計の意図はともあれ、そのお子さんのヘルメットはズレたり脱げたりということはありませんでした。
このことからもわかるように、
・軽度〜中等度の変形のお子さんの場合はずれたり脱げたりしにくい
・治療後のゴールを近くに設定にすれば、ずれたり脱げたりしにくい(ただし、ヘルメットのサイズアウト期がすぐに到来するため、サイズアウト後の再変形リスクが高くなります)
ということになります。
本例でも、ヘルメットがずれたり脱げたりしない一方、当該ヘルメットの目指すゴールが近い将来サイズアウトしてしまうこと、そして、ヘルメットの形状が短頭症の修正に寄与しない形に設計されていることを説明しなければならず、本例のご両親もがっかりされていました。
また、重度の変形があり、月齢が6ヶ月近くで開始されるケースの中には、均整の取れた理想的な頭蓋形状に服するまでの頭囲成長が見込めない場合もあり、最終的な終了期の予測に基づき作成されたヘルメットにしかならない可能性もあり、そんなお子さんのご両親からしてみると、期待を持って受け取ったヘルメットがすごく歪んでいて「ここまでしか治りませんよ」という事実は受け入れ難いのではないかと思います。
さらに、これまで数千人を治療してきた経験から申し上げて、最初は少しだけでも緩和されれば、と控えめに言っていたご両親が本当にそれで満足されたことはありません。もう少し、もう少しよくなるなら、と、時には必要以上と思えるほど長期間継続を希望されることがあります。それが親心というものだと思います。
そういうわけで、 私はゴールはできるだけ良い形に近づけるような設計を心がけています。当院の設計はすべて院長が行なっていますので、大量生産はできません。
作成にあたっては、3Dデータを取るだけでは不十分で、実際にお子さんの頭を丁寧に触れてみることが不可欠です。当院で一緒に働いていただく先生方は実力のある素晴らしい先生方のみ採用し、同じような診かたでの診察をお願いしています。
注)左右差が20ミリ越え、頭指数が105以上の場合、特殊な形の特徴の場合には、1個のヘルメットでの治療は物理的に不可能ですので、ヘルメット2個プランを提案することがあります。 しかし最も重要なのは、育児環境整備や姿勢調整を行う発達支援介入によってそのような重症化を予防することです。
2)ヘルメットを正確に被せることができているか
ヘルメットは、1)ヘルメットがどのように制作されているか で説明したように、適切な余裕をもって作成されています。
ずれを少なくするような調整を加えた上で、矯正するためにはある程度の空間が必要です。そのため、「許容範囲」と呼ばれる左右上下への動きがあります。
また、顔まで変形と伴うお子さんの場合には、正しい位置に装着できていても、曲がってかぶっているように見えることがあります。
変形の改善が得られやすい6ヶ月未満では、次の再診予約までに想定外の成長の影響をうけて、特定の部位がきつく感じられることもでてきます。
お子さんの変形や、成長の過程は、一人ひとり個性があり、設計段階で何ヶ月先までの全てを予測することは不可能です。
当院では治療開始時に装着方法の十分な説明と実習を行い、治療中はメール相談で、ご家庭での不安を軽減するように心がけています。
必要に応じて適切な再診調整を繰り返しながら理想のゴールに向かう治療です。 時にはヘルメット自体の構造を一時的に大きく調整(修理)するケースもあります。
保護者のかたには、治療チームの一員として丁寧な観察やその記録や連絡のご協力が不可欠です。よろしくお願い申し上げます。
3)お子さんの頭が意図しない方向に急速に成長していないか
乳児の頭は柔らかいが故に、むきぐせによって変形する理屈を水風船に喩えられることがあります。しかし、矯正治療中は、水風船が膨らむのとは別の法則にのっとって成長します。
ヘルメット治療開始の適齢期、と言われている月齢3から6ヶ月の期間は、同時にお首が座ってから、左右対称の寝返りができるようになる時期と重なっています。少しずつ後頭部扁平の原因が減っていく時期でもあります。
一方で、もしお子さんのむきぐせが非常に頑固であったり、寝返りをなかなかしなかったり(片方だけしかしないなど)、運動発達の遅れや低緊張を伴っていたりなどの理由で、原因が残っている場合があるのが悩ましいところです。
そのような場合には、ヘルメットの型取りをしてから初装着までの制作期間に、変形が進行するのか、自然改善的な成長するのか、正確な予測が難しいことがあります。
足掛け15年の経験で、どのように成長するかどうかある程度の予測はできるようになりましたが、お子さんの成長には個人差があり、想定外の形になっていて驚くことがあります。最終的には経験豊富な義肢装具士との連携によって、解決しなければなりません。お子さんの頭は、工業製品やシステムプログラムのとおりにはいかない難しさがあるのはそのためです。
特に装着を開始して2週間は、フィッティングにとって重要な時期です。
4)お子さんの姿勢や運動発達に原因はないか
ヘルメットが脱げてしまう、というご相談をいただいたメール画像や動画で、そのようなお子さんの姿勢や動きの特徴に気がつきました。
詳しいことは、不特定多数の読者がいるネット上には公開できませんが、
足の力が強い、と同時に、反り返って寝返ってしまう
という子は要注意です。
そもそもが このような動きは後頭部が変形してしまうリスク要因だったはずです。
ヘルメット治療を行わなければ変形が進行してしまう可能性があり、また運動発達の遅れに進行してしまう可能性がある兆候なので、私たちは慎重にお子さんの発達を注視し、必要に応じて小児神経内科医、小児リハビリテーション医へ繋げています。
残念ながらこの特徴は、ヘルメットをかぶせただけ、もしくは調整することだけではどうしようもありません。
ごく簡単な対応方法は、初回装着時に医師が姿勢を確認してお伝えしていますが、ご家庭での対策で改善しない場合には、姿勢と動きの専門家である小児専門の理学療法士の介入もご検討ください。
5)脱げてしまった時の対応は何が正解か
ヘルメットが脱げてしまう原因は、さまざまな角度から検討されるものです。
その原因によって正解といえる対応は異なります。
医師、義肢装具士、理学療法士との密接なコミュニケーションが必要です。
最近は、赤ちゃんの頭の形を治療することを標榜する医療機関が増えてきました。どの先生方も熱い思いで乳児頭蓋矯正に取り組まれていると思いますが、医師、義肢装具士、理学療法士それぞれの職種で専門的知識と経験が豊富といえる人的リソースはまだ限られてるのが現状です。
当院では乳児のむきぐせ、発育や運動発達、そして頭蓋変形に深い知見と見識をもった経験豊かなスタッフを厳選して治療、療法にあたっており、ヘルメットや運動発達治療・療法中のご不安を相談しやすい体制を整えています。
WEBでのご予約の場合、当院より予約確定のお電話をさせていただきます。
お電話がつながって初めて、ご予約確定となります。
なお、お電話番号は通信専用や着信拒否設定されている場合、予約確定ができませんのでご注意ください。
火曜日は理学療法士による発達支援を含む初診ですので、費用がことなります。詳細は治療費のページをご覧ください。