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今回は、先日参加した日本形成外科学会学術集会で演題について、少しわかりやすくお話ししたいと思います。
実は、「頭にこぶがある赤ちゃんの頭の形をどう治療するか」という少し特殊なケースについて、学術集会で症例報告を行いました。
「頭にこぶがあるのは自然に治る?」でも形が気になる…
赤ちゃんの頭に“こぶ”がある、というご相談は実は少なくありません。
医学的には「産瘤」「硬膜下血腫」「頭血腫(ずけっしゅ)」「頭部血管腫」などがありますが、頭の形外来で診ることが多いのは「頭血腫」と呼ばれているもので、出生時の圧力や吸引分娩などが原因で起こることがあります。
多くの場合は自然に吸収されていきますが、大きいこぶがあると、赤ちゃんが頭を同じ方向にしか向けなくなることがあり、その結果、反対側の後頭部が扁平になり、左右非対称な“斜頭症”が進行することがあります。
このようなケースでは、通常の頭蓋矯正ヘルメットでは“こぶに当たってしまう”という問題が出てきます。
ちいさなこぶの場合にはご両親も気がついていないことがあって、レントゲン検査をした時やヘルメットを設計している時におやっと気が付く、それくらいの小さなこぶについては設計や毎月の適合調整に配慮することで日常茶飯事的に治療が可能ですので心配ありません。
治療前にわかっていれば、どのような経過をとるか、治療の選択肢について診察室でお伝えしています。
しかし大きい場合は?
今回発表したお子さんの場合には、医師と義肢装具士が連携して、国立成育医療センター形成外科の協力も得て、「こぶの部分には圧をかけず、扁平な側はしっかり矯正できる」という、完全オーダーメイドの治療用装具のヘルメットを設計・製作しました。
(生成AIで治療のイメージ図を作成してみました。実際のヘルメットの形とは異なりますので初心者が真似すると危険です、絶対に真似しないでください。 話がそれますがこの画像を作成するのに思いのほか手間がかかりました。生成AIは一般的なネットの浅く広い情報を集めてそれらしい絵をつくるのは上手なのようですが、独創的な絵を描くプロンプトは難しかったです。)
結果として、左右のバランスが大きく改善し、ご家族にもご満足いただけました。
斜頭の指標であるCVAIが20%(13%以上が最重症)から、3%(正常値)まで改善しました。(著作権と医療広告ガイドラインの制限があり、その画像をここでお見せできないのが残念です。)
この治療経験を、全国の形成外科医の年に一度の学術集会の場で発表する機会をいただきました。
知っておいてほしい、ヘルメットの種類と違い
赤ちゃんの頭の形を治すヘルメットには、大きく分けて次の2種類があります。
● 医療機器としてのヘルメット
国の承認を受けた製品で、一定の安全基準が保証されています。決まった製法・素材の中で、個別に設計されます。
● 治療用装具としてのヘルメット
医師の指示・設計のもと、義肢装具士が一人ひとりの頭の形に合わせて自由に設計できます。
素材や構造も、その子に応じて柔軟に設計・調整が可能です。当院では、この治療用装具の強みを最大限に活かしています。
当院の義肢装具士は米国で矯正ヘルメットのCAD/CAMによる製作研修を受けた経験を持ち、実は日本人の赤ちゃんの最初のヘルメット治療に携わった人物でもあります。その経験に裏打ちされた職人技は日々の装具製作やフィッティングに活かされ、「この子のためのヘルメット」を丁寧に作りあげています。
もちろん治療用装具といっても、“何でも自由に”というわけではありません。
赤ちゃんの敏感なお肌や体質に配慮し、アレルギーや圧迫、刺激のない安全な素材を厳選して使っています。
安全性には十分に配慮して医師と確認していますのでご安心ください。
当院では、お子さんに応じてどちらのヘルメットの種類をも選んでいただけるように複数のメーカーを取り扱っています。
私たち形成外科は、“形”を専門に扱う診療科です。
赤ちゃんの頭の形も、「一人ひとり違う」ことが前提です。だからこそ「この子に合った治療」を届けたい。
どんなに形がゆがんでいても、どんなに複雑なケースでも、その子に合わせて、最適な治療を考える。
それが私たちの役割です。
今回のように少し複雑なケースであっても、素材や構造に制限の少ない「治療用装具」の“設計自由度”が、最善の結果を導く助けになることがあります。
最後に:迷ったら、ぜひご相談ください
「うちの子、ちょっと特殊かも?」
「他のところでは難しいと言われたけれど、治療できる?」
そんな不安をお持ちの方も、ぜひご相談ください。
私たちは、その子の頭に合わせて、もっとも良い方法を一緒に考えることを大切にしています。
頭のかたちは、毎日少しずつ成長しています。
「今、このタイミングでできること」は、意外と多いのです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今後も、赤ちゃんの頭の形に関する情報をわかりやすく発信していきます。
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火曜日は理学療法士による発達支援を含む初診ですので、費用がことなります。詳細は治療費のページをご覧ください。