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頭の形外来
Crania Deformity Blog

「ヘルメット治療をしないと◯◯になる」は本当? その1

はじめに

変形性斜頭に関する“よくある不安”と医学的根拠を整理します

診察室では、できるかぎりすべてのご質問に丁寧にお答えすることを心がけています。

ただ実際には、説明が長くなりすぎて赤ちゃんもご両親も、そして私自身もぐったりしてしまうこともあります。あまりに情報量が多すぎて一度の受診では整理しきれなかったり、ご家族のうちどなたかお一人で受診された場合には、「家で正しいニュアンスを伝えるのが難しかった」と言われることもあります。もうひとつ率直に申し上げると、診療時間が極端に長くなることは、医療の質を保ちつつ持続的にクリニックを運営していくうえでも大きな課題です。本来はもっと多くのご家族に丁寧に向き合いたいのですが、限られた時間の中では難しい場面も出てきます。

そこで今回、特にご質問が多い「治療しないと何が起こるのか?」という不安について、現時点での医学的知見に基づいて整理したブログを作成しました。

診察のあとに、落ち着いた環境でゆっくり読んでいただけたらと思います。

赤ちゃんの頭の形について相談に来られる保護者の方から、よくこんなご質問をいただきます。

「このまま治療しないと将来、自閉症になるとか、歯並びや歩き方まで悪くなるって本当ですか?」

インターネットやSNS上では、「治療しなければ大変なことになる」といった情報が拡散しており、不安を煽られてしまうケースもあります。

そこで今回は、代表的な9つの“よくある不安”について、現時点での医学的知見に基づく評価と、その科学的根拠の信頼度(★)をまとめてご紹介します。

よくある不安と現時点の医学的評価

不安内容説明医学的根拠の信頼度(★)補足・備考
脳の発達が遅れる/発達障害になる現時点で明確な因果関係は証明されていないが重度変形例で診断率が高い。脳の構造や機能そのものに異常があるわけではない★★☆☆☆運動・言語の遅れ・運動協調障害を示す報告があり背景要因の切り分けが困難。自然改善する例も多い
斜視になる頭蓋変形と眼位異常との直接の因果関係は報告されていない★☆☆☆☆視力・眼球運動異常・眼瞼下垂が疑われる場合は個別評価
噛み合わせが悪くなる(歯列不正)顎の偏位が強い場合は、咬合への影響が生じうるが、定量的なエビデンスは限定的★★☆☆☆咬合異常は遺伝や習癖の影響も大きく、個別評価が必要。矯正歯科的評価は成長後に必要なことも
耳の位置が非対称のままになる解剖学的には事実。見た目に影響する場合もある★★★☆☆見た目や、補聴器・眼鏡装着で不便が出る例がある
中耳炎になりやすくなる解剖学的に関連性を示す証拠は乏しい★☆☆☆☆耳管機能や免疫の問題が主
顎関節症になる重度変形では理論的可能性を否定できないものの、通常の変形性斜頭では関連は乏しい。ストレス・姿勢・歯ぎしりなどの影響が大きい★☆☆☆☆長期追跡調査が不足
側弯症になる脊柱側弯症と頭蓋形状との因果関係は証明されていない★☆☆☆☆姿勢不良や筋緊張低下などの併発に注意
まっすぐ歩けなくなる単純な頭蓋変形では歩容に影響しない。低筋緊張などの併存例では影響あり★★☆☆☆理学療法や装具療法で改善可能な例も多い
外見・社会的な影響(整容面)成長後の本人の自尊感情や社会適応に影響する可能性があるとの報告も★★★★☆重度の変形では本人が気にする可能性あり、家族の文化的背景にも左右される

誤解が生まれる背景

これらの「不安」の多くは、以下のような背景で拡大してしまいます:

  • 一部の体験談が事実以上に拡大解釈されている
  • 広告宣伝の場面で「治療の必要性」が強調されすぎる
  • 因果関係が不明確なまま「相関関係」が誤解されている

一方で、不安解消を重視するあまりに、お子さんの現状をしっかり診察しないままマニュアル的に説明される場面があります。私たちは、こうした情報の“ノイズ”に対して、冷静で根拠に基づいた対話が必要だと考えています。

医師として大切にしていること

当院では、「過度な不安」をあおるのではなく、以下の姿勢を大切にしています。

  • 頭の変形が病気を原因としたものでないかを調べる
  • 赤ちゃんの頭の形にどの程度の非対称があるかを客観的に評価
  • 計測データ以外で気にされている頭の形の特徴や抱えている不安をお聞きする
  • 脳や発達への影響がある可能性は極めて限定的であることを誠実に説明
  • どのように治療するかはご家族の価値観やご希望を重視して、一緒に考える
  • 費用がかかることでもあり更に家族の協力も大切なことなので、執拗にヘルメット治療を強要しない

おわりに

「このままで大丈夫なのかな?」というご不安は、ご家族にとって当然の感情です。

ただ、正確な情報をもとに冷静に判断できるようにサポートするのが、私たち医療者の役割だと考えています。

“治療しないと将来こうなる”という一方的な説明ではなく、今のお子さんの状態と将来への見通しを、医学的に丁寧にお伝えし、家族にとって納得できる選択を支援したい。それが、私たちの願いです。

※本記事の内容について

  • 本記事は、院長が10年以上にわたり、自院および他の医療機関で実際にヘルメット治療を行ってきた多数の臨床経験に基づき、2025年4月時点での推定と解釈を記載したものです。
  • また、国内外の多数の学術論文を精査し、現在入手可能なエビデンスに基づいて客観的に検証した結果を反映しています。

医学は日々進歩しており、今後新たな知見が得られる可能性もあります。ご不明な点がありましたら、ぜひご相談ください。次は、ヘルメット治療をしたら予防できるのか について書いていきますね。

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火曜日は理学療法士による発達支援を含む初診ですので、費用がことなります。詳細は治療費のページをご覧ください。

アクセス

ベビーカーでお越しの方は、赤坂見附駅をおすすめします。地上出口までエレベーターがあり便利です。