はじめに

「乳児健診で“頭の形が少し気になりますね”と言われたのですが…」
「健診では何も言われなかったけれど、写真で見ると左右差がある気がして…」

当院には、乳児健診をきっかけに赤ちゃんの頭の形を気にされて受診される方が多くいらっしゃいます。
今回は、健診後によくある保護者の不安や疑問について、医師の立場から整理し、安心して次のステップを考えられるようにまとめました。

よくあるご相談①：「健診では“そのうち治るかも”と言われたけど、本当に大丈夫？」

そのまま様子を見ていいのか、治療のタイミングを逃してしまうのではないか…と不安になるお気持ち、とてもよくわかります。
頭の形のゆがみには、「自然に改善するタイプ」と「改善しにくいタイプ」があります。
医師による正確な評価が必要なのは、「改善しにくいタイプかどうか」を見極めるためです。

よくあるご相談②：「健診では何も言われなかったけど、家で見るとやっぱり気になる…」

健診の時間は限られており、仰向けでの短時間観察だけでは見逃されることもあります。
特に、写真や動画で見て初めて気づくような左右差や後頭部の非対称は、親御さんの感覚もとても大切です。
「気になる」という直感は、専門的な評価のきっかけとして十分な理由になります。

よくあるご相談③：「治療するほどではないと言われたけど、説明が少なくてモヤモヤしています…」

健診では「経過観察でよいでしょう」と言われた場合でも、具体的にどう様子を見ればいいのか、何を基準に判断すればよいのかが不明確なままになることがあります。
当院では、その子の現在の頭の形の程度・将来的な見通し・必要な対策をわかりやすくご説明しています。
“納得した上で様子を見る”というのも大切な選択肢です。

専門医に相談するメリット

・ゆがみの程度を数値化して客観的に評価できます（例：対角左右差や頭蓋指数）
・ヘルメット治療の必要性・適応外・経過観察のどれかを明確に判断できます
・頭の形だけでなく、筋緊張や運動発達の質もあわせてチェックします

　→「健診でも発達は見てもらったし…」と思われる方も多いのですが、当院でのチェックは少し異なります。
　ここで見るのは、“寝返りをするかどうか”ではなく、“左右の動きに差があるか”“うつぶせ姿勢でどのように体を支えているか”など、
　頭の形に影響しやすい筋肉の使い方や発達の“質”です。
　これらの情報は、自然な改善が期待できるか、専門的なサポートが必要かの判断材料になります。

最後に

赤ちゃんの健診をきっかけに「うちの子、だいじょうぶかな？」と思ったら、どうか一人で抱えこまず、まずは評価を受けてみてください。
“治療が必要かどうか”を決めるのは、受診した後でも大丈夫です。

「大丈夫だとわかって安心した」「説明を聞いて納得して様子を見ることにした」「今が始める時期だとわかって治療を前向きに考えられた」
そんなご家族がたくさんいらっしゃいます。

赤ちゃんの健やかな成長のために、医療の視点からできるサポートをこれからも続けていきます。