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当院における頭の計測は、よくもわるくもアナログです。
赤ちゃんのパパ、ママから「機械計測できっちりはからないんですか?」、「手で測ると誤差が出ませんか?」とよく言われます。
そうですね。機械と違って人為的だと言われるとそうかもしれません。
では、なぜ機械計測しないのか。
それは、赤ちゃんの頭の形、そしてそれを評価する人たちが三者三様だからです。
ママやパパが気にしているのは、CIと呼ばれる頭指数や、変形のレベルではなく、「ここがへこんでる。」「ここがでっぱってる。」「ここがななめってる。」といったものです。
そして見る人によって「こんなの大したことないよ。」と言われたり「ひどい絶壁だね。」と言われたりして、「一体うちの子はどんな状態なのよ!」と悩んでしまう点です。
特に「絶壁」と言われて悩んでいる方の中には、頭囲性短頭といった計測上の頭蓋変形とは別に、計測上は正常であるにもかかわらず見た目がそう見えてしまう方もいます。したがって絶壁(ぜっぺき)=短頭ではありません。私は後頭部に丸みがない状態を「扁平頭(へんぺいとう)」と称しています。正式な名前ではありませんが。
機械では、頭部の一番長い対角線と、一番短い対角線を計れというオーダーに関して、どんなに優秀な技師さんより正確にその長さを瞬時に計測することができます。
更に、これが無機物であれば、人手による計測は全くかないません。
では人間による計測はあいまいなのに何故に機械計測をしないのか。
頭の形が歪んでしまっている赤ちゃんの頭囲や、長辺、短辺、直径などを図るのは、実はとても難しいのです。
理由はおおむね以下のとおり
◆ そもそも人間の頭骸骨は完全な球体ではなく、生理学的な凸凹がある
◆ 後頭部の真ん中がどこかの判別が機械ではできない
◆ 一番出っ張っているところが成長や頭蓋変形の進行度合いによって刻々と変わる、即ち定点がない
◆ どこの出っ張り、どこのへこみを気にしているか機械では判別できない為、いろんなタイプの頭蓋形状をした赤ちゃんに対し、一律にあらかじめプログラムした場所だけを一律に計測することになる
機械計測を行うためには上記の理由の他、専門の機械を導入する必要があり、かかりつけ医の先生が同じ計測の仕方で情報を共有するまでにはまだ時間がかかりそうです。
人的な計測では、測り手の違い、あるいは図るタイミング違いによる誤差が発生するというデメリットがあるものの、総合的にはまだこの方法が個々の事情や他の医療機関との情報共有にはベターな方法なのかなと考えています。
ただし、機械計測はぶれない、瞬時に判断できる、という点でとても素晴らしい計測方法です。私もよい計測方法がないか、常に情報収集を行っています。
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