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頭の形外来
Crania Deformity Blog

2011年には誰も知らなかった「タミータイム」という言葉

こんにちは。赤ちゃんのあたまのかたちクリニック院長の高松です。

先日、NHKのニュース番組で赤ちゃんの頭の形に関する特集が放送されましたね。

https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015138291000?cid=nwebhk-tvqc
(NHKのサイトに飛びます)

その中で「タミータイム」という言葉が紹介されていました。

現在では、

「産院で教わりました」

「育児書で読みました」

「SNSで知りました」

という保護者の方も珍しくありません。

しかし、私が国立成育医療研究センターで頭の形外来を始めた2011年頃、この言葉を知っている保護者はほとんどいませんでした。

とうとう全国ニュースで自然に使われるようになったのだ、15年近くかかったのだと感慨深く視聴しました。

成育では「積極的体位変換療法」と呼んでいます

2011年当時、私たちは外来で

「タミータイム」という言葉ではなく、タクティールケア(Taktil Care)という優しいマッサージと組み合わせて「積極的体位変換療法」という言葉を使っていました。

起きている時間にうつ伏せ遊びを取り入れること。向き癖を減らす工夫をすること。抱っこや授乳の向きを工夫すること。

こうした理学療法的な内容を、ご家族に一つひとつ説明していました。

今から考えると少し堅い名前ですが、当時の日本ではタミータイムという言葉自体がほとんど知られていなかったのです。

ヘルメット治療の認知は早かった

この15年を振り返ると、少し不思議なことがあります。

赤ちゃんの頭の形への関心は徐々に高まりました。

ヘルメット治療も一般の方に知られるようになりました。

一方で、本来はその前段階にあるはずのタミータイムは、日本ではなかなか広まりませんでした。

海外では以前から、

「Back to Sleep, Tummy to Play」という考え方が知られていました。

寝る時は仰向け。 起きている時はうつ伏せ遊び。

この二つをセットで考える考え方です。

ところが日本では、頭の形やヘルメット治療の認知が先に進み、その背景にある予防的な考え方が十分に広まるまでには長い時間がかかりました。

最近の外来で感じる変化

タミータイムとは何でしょうか

ここまで「タミータイム」という言葉を使ってきましたが、初めて聞く方もいらっしゃると思います。

タミータイム(Tummy Time)とは、赤ちゃんが起きている時間に、保護者の見守りのもとうつ伏せになって過ごす時間のことです。

「うつ伏せ寝」とは異なります。

寝る時は仰向け。起きている時に保護者が見守りながらうつ伏せ遊びを行う。

これが現在広く推奨されているタミータイムです。

海外では、頭の形への配慮だけでなく、首や肩、体幹を使う経験を増やし、運動発達を促す目的でも行われています。近年は日本でも産院や自治体の育児指導の中で紹介される機会が増えてきました。そのためか最近は外来で、

「タミータイムという言葉は知っています」

「タミータイムはしています」

「産院で教わりました」

という言葉を聞くことが増えました。

芸能人やタレントさんの育児SNS発信を通じて知ったという方もいます。
産院や自治体の育児教室で紹介される機会も増えているようです。
これはとても良い変化だと思います。

頭の形だけでなく、赤ちゃんの発達や安全な育児環境についての知識が広がっているからです。

言葉が広がることと、実践できることは別の話

ただ、ここで難しいのは、

「知っている」ことと、「実際にできる」ことは別だということです。

外来では、

「タミータイムが大切だと聞いたので頑張っています」というご家族もいれば、

「嫌がってしまってなかなかできません」というご家族もいます。

また、

「うつ伏せはできるけれど向き癖は変わらない」

「寝返りはできるけれど後頭部への圧力が減らない」

というお子さんもいます。

赤ちゃんの発達や体の使い方には個人差があります。ご家庭の生活環境もそれぞれ異なります。そのため、同じ説明を受けても、同じ結果になるとは限りません。

 私たちが現在行っていること

当院でも初回診察の際には、頭の形、向き癖、首の動き、姿勢、運動発達などを確認しています。

初回診察の限られた時間の中では、まず病気であることの除外診察や必要に応じた検査をもとにした現状評価と状況の整理が中心になり、それだけでもたくさんの時間が必要で赤ちゃんの機嫌も悪くなります。。

そのため、ご家庭でできる工夫や治療の実際については、どうしても一般的な説明が中心にならざるを得ません。

  • 実際には、どの抱っこが合うのか
  • どの姿勢なら嫌がらないのか
  • どの程度タミータイム(うつ伏せ遊び)ができるのか

は、お子さんによって大きく異なります。

そこで当院では、より具体的なサポートを希望されるご家族に向けて、小児分野を担当する理学療法士による発達サポートも準備しています。

これは必須ではないものの、お子さん独自の体の使い方や発達段階を実際に確認しながら、ご家庭ごとの状況に合わせた個別のアドバイスを受けていただくことができます。

次回予告

最近はSNSなどで、

「タミータイムをすれば頭の形が治る」

あるいは「タミータイムには意味がない」

という極端な情報を目にすることがあります。

しかし実際の医療は、そのどちらでもありません。

次回は、

「タミータイムは万能ではありません」

というテーマで、現在分かっている科学的根拠と、その効果や限界についてお話ししたいと思います。

参考文献

Turk AE, McCarthy JG, Thorne CHM, Wisoff JH. The “Back to Sleep Campaign” and Deformational Plagiocephaly. Pediatrics. 1996;97:786-787.

Wittmeier KDM, Mulder KA. Back to Sleep, Tummy to Play: A Review of the Literature on Tummy Time in Infants. Paediatr Child Health. 2017;22(3):159-163.

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